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時効の遡及効
民法144条 時効の効力
(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
民法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
簡単に言うと・・・
時効が成立したとき、その効力が時効のカウント日から有効になります。
詳しく解説
そもそも時効とは、一定時間の経過により
・権利の取得
・権利の消滅
を認める制度です。
時効とは・・・
一定の期間の経過により
・権利の取得(取得時効)
・権利の消滅(権利時効)
を認める制度です。
この時効の効力が起算日にさかのぼるというのは、時効をカウントしはじめたときからスタートということになります。
つまり、時効が成立する前に起きたことも時効によって発生した権利や消滅した権利の前提で考えることになります。
これは具体例で考えるとよりわかりやすいかもしれません。
時効の遡及効の具体例
所有権の時効の遡及効
AさんがBさんの土地を公然、平穏に20年間占有していたとします。(悪意有過失の場合)
この期間が経過した時点で、Aさんは土地の所有権を取得します。
この時効の遡及効により、Aさんの所有権は20年前、時効開始時点に遡って発生したとみなされます。
つまり、Aさんは時効成立の時点から土地所有者になるのではなく、
時効成立前のカウント開始の日から土地所有者だったということになります。
借金の消滅時効の時効の遡及効
CさんがDさんに対する借金を返済期限から5年間返済していないとします。
5年が経過した時点で、借金は消滅時効により消滅します。
この時効の遡及効により、借金の消滅は時効が完成した時点に遡って発生したとみなされます。
つまり、その間の遅延損害金などを請求できなくなることを意味します。
起算日がもし、時効の成立時点であれば遅延に伴う損害を主張できることになるので、この「時効の遡及効」が重要な役割を担っていることがわかります。
時効の遡及効
時効が成立したとき、その効力が時効のカウント日から有効になります。