この記事で学べること
・賃金支払いの基本原則と例外条件
・賃金の支払い方法とその特例
・定期的な賃金支払いの規定と例外
労働基準法第24条は、労働者の賃金支払いに関する基本的な原則とその例外を定めています。この条文の理解は、労働者と雇用者の双方にとって不可欠なものです。今回の記事では、賃金の支払い方法、支払いの定期性、及び例外条件について分かりやすく解説します。
そもそも賃金とは?
労働基準法第11条では、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」とあります。
つまり、労働の対価として支払われるものはすべて賃金です。
現物給付の住宅、食費、作業着などは一般的には賃金にはなりません。
ただし、住宅の貸与がないものに対して一律手当を給付している場合には賃金とされます。
そのほか、休業手当や通勤手当などは賃金になり、休業補償や解雇予告手当、出張旅費などは賃金にはなりません。
通貨支払いの5原則
賃金については、労働基準法第24条でその支払い方が定められています。
この支払い方の原則を通貨支払いの5原則と呼ぶことがあり、以下のようなものが該当します。
通貨支払いの5原則
・賃金は通貨で支払わなければいけない(通貨払いの原則)
・賃金は直接労働者に支払わなければならない(直接払いの原則)
・賃金はその全額を支払わなければならない(全額払いの原則)
・賃金は毎月1回以上払わなければいけない(毎月1回払いの原則)
・賃金は一定の期日を定めて支払わなければならない(一定期日払いの原則)
これらは原則ですので労働協約や労使協定、労働者の同意のもとで別の方法に変えることも一部可能です。
賃金支払いの基本原則
労働基準法第24条第1項によれば、賃金は通常、通貨で直接全額労働者に支払われるべきです。
しかし、法令や労働協約、または厚生労働省令で定められた確実な支払方法がある場合に限り、通貨以外のもので支払うことが可能です。
また、特定の条件下では賃金の一部を控除して支払うことも許されます。
表: 賃金支払いの基本原則と例外
支払いの形態 | 条件 |
---|---|
通貨での全額支払い | 一般的な条件 |
通貨以外での支払い | 法令、労働協約、厚生労働省令に基づく |
賃金控除 | 特定の書面による協定がある場合 |
賃金の支払い方法と特例
賃金の支払いは、原則として直接労働者に行われます。
つまり本来は通貨(現金)による手渡しでなければいけません。
ただし、多くの会社では銀行振り込みなどで対応していますね。
この原則には、賃金を労働者本人に確実に渡すための保護措置が含まれていますが、法令や労働協約によっては通貨以外の方法で支払うことも認められています。
「労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と書面による協定」を結べば給料の銀行振込も可能です。
このとき、労働者の同意があれば通貨以外で払うことが可能です。例えば労働者の同意がある場合には賃金を銀行口座振り込みによって行うことができます。
参考:厚生労働省 賃金関係
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/chingin.html
定期的な賃金支払いの規定
第24条第2項では、賃金は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払われるべきであると規定されています。ただし、臨時の賃金や賞与など特定の種類の賃金についてはこの定期性の要件から除外されています。この規定は、労働者の経済的安定性を確保するためのものです。
表: 定期的な賃金支払いと例外
支払いの種類 | 定期性の要件 |
---|---|
通常の賃金 | 毎月一回以上 |
臨時の賃金等 | 定期性の要件から除外 |
まとめ
労働基準法第24条は、賃金の支払いに関する労働者の権利と安全を保障するための重要な規定です。賃金の支払い方法、期日、及びその例外条件を理解することは、公正な労働環境を維持するために不可欠です。
社労士試験対策 確認クイズ
- 通常、賃金はどのような形で支払われるべきですか?
A) 通貨で全額 B) 商品やサービス C) 社員株式 - 賃金を通貨以外で支払うことが許される条件は何ですか?
A) 常に許される B) 法令や労働協約に基づく場合 C) 会社の方針による場合 - 賃金は通常、どのような頻度で支払われる必要があるか?
A) 毎週 B) 毎月一回以上 C) 年に一度
解答:
- A) 通貨で全額
- B) 法令や労働協約に基づく場合
- B) 毎月一回以上