在籍型出向とはなにか?わかりやすく解説<社労士試験用語解説>

社労士の資格を勉強しているときに、「在籍型出向」という用語がでてきます。

在籍型出向の意味を調べている人へ向けて簡単に在籍型出向の意味と移籍型出向との違い、在籍型出向が違法になるときとならないときの違いについて解説していきます。

最後まで読んでいただけますと幸いです。

目次

在籍型出向

労働者が出向元との労働契約関係を維持したまま、出向先との間にも労働契約を結ぶ就業形態のことです。

出向元と出向先には出向契約が成立します。

この場合、三つ巴のような形で労働関係が成立し、

これに対する概念として移籍型出向があります。

移籍型出向では出向元と出向労働者の間には労働契約がない就業形態をいいます。

移籍型出向とは?

移籍型出向はいわゆる「転籍」のことで、

出向元との労働契約を解除したうえで、新しい出向先との労働契約を結ぶ形のものをいいます。

在籍型出向では出向元との労働関係を維持しているという点で異なります。

どんなときに在籍型出向は起こる?

例えば最近では、新型コロナウイルスの影響で仕事が減った会社が、人手を余らせておくよりも他社で経験を積んでほしいといった理由で出向させるケースがありました。

在籍型出向は違法ではない?

職業安定法44条では、許可のないものが労働者供給事業を行うことはできません。

第三章の四 労働者供給事業

(労働者供給事業の禁止)

第四十四条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

(労働者供給事業の許可)

第四十五条 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

職業安定法 | e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000141

それでは労働者供給事業とはなにか?ですが、
自分の管理下にある労働者を別の人の指揮命令下で働かせ利益を得る形態のものをいいます。

利益を得ているかというのと業として行っているかがポイントになります。

つまり継続的にそれを行うことで利益を得ようとしている場合には在籍型出向も違法になります。

ただし、出向の目的がはっきりしており利益目的ではない場合には違法にはなりません。

違法にならない出向理由の例

社員の育成や成長のため

社員のスキルの向上のために、同業種あるいは異業種の店に一定期間出向させることは違法ではありません。

雇用機会の確保のため

労働者を解雇する代わりに、別の会社で働いてもらうことで労働者が働く場所を確保する目的で行う場合には違法ではありません。

経済的な理由や労働者の健康の変化など、何らかの理由で雇用の維持が難しくなった場合に社員の生活を守るために雇用を維持しる目的で行われる場合の出向はよく行われます。

違法になる可能性がある出向理由

・出向元の企業が営利目的で出向させる場合。

・労働者に不利益が生じる場合

労働者に不利益が著しく生じる場合には出向命令をすることは認められません。

・思想信条を理由とする出向

思想信条を理由として、出向を命ずる場合は労働基準法の第3条 均等優遇の原則から違法になる場合があります。

信条とは宗教や政治においての考え方のことを言い、これらを理由に出向を命ずることはできません。

(均等待遇)

第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

労働基準法 | e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
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