日本の労働基準法における「強行的効力」と「直接的効力」について説明します。
労働基準法の第13条で決められている「強行的効力」と「直接的効力」
労働基準法の第13条では、労働基準法の基準に達さない契約が結ばれたときに
・その部分の効力を無効にする。
・無効となった部分は法律で定められた基準に自動的に引き上げられる。
ということが決められています。
このとき、「その部分の効力を無効にする。」という部分を強行的効力といい、
「無効となった部分は法律で定められた基準に自動的に引き上げられる。」という部分を直接的効力といいます。
例えば、最低賃金に関する規定はすべての労働契約に直接適用されそれ以下の賃金を定める契約は無効となります。
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
労働基準法 | e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
これらの原則は労働者の権利を保護し、不公平な労働条件を防ぐためのものです。
労働基準法は、労働者が安全かつ公正な労働環境で働くことができるように最低限の基準を定めています。
強行的効力と直接的効力は、この保護を実現するための重要な仕組みです。
強行法規と任意法規と取締法規
法律の条文には、強行法規、任意法規、取締法規の3つがあります。
強行法規はその名の通り、強制的に適用される規定です。
というのも例え両者が合意のうえで契約を結んだとしてもその契約内に強行法規の内容で規制されているものがあれば、その契約は無効になるというものです。
次に任意法規は、法律の中に一定の制限はあるもののその法律と異なる合意を双方同意で結んだ場合、その合意が優先されるような規定が、任意法規です。
最後に取締法規とは一定の行為の制限や禁止を行うものの、行政の取り締まりにおいてのみ用いられ、同意された契約は無効にならない法規のことです。
強行法規と取締法規ではその契約の内容が無効になるのか有効になるのかで大きな違いがあります。
強行法規・・・この法規に違反した契約は無効になる。
任意法規・・・この法規を上書きして新たな合意を結ぶこともできる。
取締法規・・・行政上、取り締まられるが、契約は無効にはならない。